東京事変 - 『娯楽(バラエティ)』 全曲解説&レビュー



  1. ランプ(作曲:浮雲)
    やや複雑な構成ですが、ポップな楽曲。ギターは聴きどころ多し。アタックの強いソロフレーズと、サビの前にD音とE音の間を行き来して音が揺らぐプレイは、浮雲さんらしい。D音を鳴らすコトができるのは、彼のテレキャスにバンジョー・ペグが付いているからだと推測。バンジョー・ペグをひねって音程を変える奏法は、カントリー系のギタリストがよく用いる技術です(ジミヘンあたりは、平気でペグを回してますが…)。
     
    あと、これは個人的な意見ですが、ドラムの音が…。こういう音、おいらはチョット苦手。全体を通じて感じましたが、コノ曲では特に顕著な気が…(好みが分かれる音なのかな)。

  2. ミラーボール(作曲:浮雲)
    今までいくつかのアレンジを耳にしましたが…、うーむ。ボーカルにはエフェクターが強くかかり、ウネウネし過ぎという気が…。ギターのリフは、やや軽薄な印象を受けた。楽曲自体は文句無しに素晴らしい名曲中の名曲なので、少しもったい無い気がしました。

  3. 金魚の箱(作曲:伊澤一葉)
    コノ楽曲は思い切り「80年代」っ。レベッカ、バービーボーイズ、BOOWYあたりの…。このアルバムでは、他にも80'sテイストを感じる作品があります。このコトは伊澤さんはじめ、多くのメンバーの幼少期が80年代であるコトも影響していると思います。メロディー、アレンジ、歌詞、ギターソロまで80'sテイスト…、タイムスリップ感覚。

  4. 私生活(作曲:亀田誠治)
    亀田&林檎コンビの真骨頂。林檎さんはこういう世界観に、飽きてしまったのかな。おいらは飽きません!曲調、歌詞、アレンジ、録音も含めて…。亀田さんには、これからもこういう作品を、是非とも提供して頂きたいっ。浮雲さんの世界観とは相容れない部分かも知れないけど、不思議なコトに、こういう作品での浮雲さんのプレイは実に格好が良い。アルペジオもギターソロもステキだ、良い音してます!

  5. OSCA(作曲:浮雲)
    この曲は浮雲さんの作品なのだけど、伊澤さんのプレイが光っている。浮雲さんは、ご自身が提供した作品では、抑えたプレイをする傾向にあるようです(←詳しくは、ギターマガジンの10月号を参照ねがう)。

  6. 黒猫道(作曲:伊澤一葉)
    戸川純、ゲルニカ、ヤプーズ…、これも80年代チックだなぁ。メンバー各々、リラックスして音楽を楽しんでいます。自由にリズム変えて、オカズ入れて、アドリブ入れて、弾きまくって、「何でもできますが、何か?」といった感じ。だけど、スキルをひけらかすというより、スキルを皮肉っているように感じた。ライブでは涼しい顔で弾きまくりそうだ…。

  7. 復讐(作曲:浮雲)
    浮雲さんが唄っても良かったのではないかな…、一曲ぐらい唄ってみてはどうか(事変としては、ちょっと冒険が過ぎるかな)。このアルバムは、ほんの一部をのぞいてギター一本で録音していますが、コノ曲では右chと左chで二本かさねている。浮雲さんと伊澤さんの二人でギターを弾いているそうです(←詳しくは、ギターマガジンの10月号を参照ねがう)。

  8. 某都民(作曲:浮雲)
    タイトルや歌詞の内容のせいもあるかも知れませんが、東京っぽい。これは、浮雲さんの個性の一面だと思います。浮雲さんのボーカル、エフェクターかけ過ぎでは…。せっかくの生声の魅力が…、惜しい。遊び心満載の彼ら、コノ曲のラストは、『大人(アダルト)』に収録されていた「歌舞伎」のイントロですね。

  9. SSAW(作曲:伊澤一葉)
    伊澤さんのポップな歌メロが前面に出ている。鍵盤の音のせいかな、すごく懐かしい、70年代あたりの雰囲気が漂っていると感じた。せつな系のメロディーがステキです。コノ曲では伊澤さんと林檎さんがデュエットをしていますが、林檎さんが一人で唄った方が切ない雰囲気がより強く出た気がする。女の子っぽい作品というコトもありますし、個人的には林檎さんだけに唄って欲しかったです。

  10. 月極姫(作曲:浮雲)
    オリジナルは、浮雲さんが参加している"ししゃも"の曲。これも80年代風…、戸川純あたりに近いかな。この作品でも彼らの遊び心が。後半の、印象的な鍵盤のメロディー、あれはドアーズの「Light My Fire」のイントロですね(キーは異なる)。あと、これは意図的かは分かりませんが、BOOWYの「CLOUDY HART」と、エンディングがほぼ同じです(キーも同じ)。

  11. 酒と下戸(作曲:伊澤一葉)
    伊澤さんらしい作品だと感じました。途中、ピアノきっかけで大きく展開するあたり、彼独特のセンスが溢れていますね。全体を通じて構成が複雑なのは、彼の持ち味なのかな。クラシックの教育を受けた、由緒正しい正統派ミュージシャンの作品、という気がします。

  12. キラーチューン(作曲:伊澤一葉)
    チャールストンのリズムが印象的なポップチューン。この作品は非常によく出来ています。楽曲の素晴らしさはモチロンのコト、詩も興味深い。浮雲さんのギタープレイも、冴え渡っています!このギタープレイはコピーのしがいがあると思う。格好の良いフレーズを連発していますっ。

  13. メトロ(作曲:浮雲)
    イントロのギタープレイ、面白いなぁ…。鍵盤の音と曲調、かなり懐かしい感じ、70年代の雰囲気?はっぴいえんど、吉田拓郎、荒井由美あたりを思い出してしまった。長閑なポップス。浮雲さんの作品としては比較的めずらしい、純粋なポップチューン。個人的には、こういうポップな浮雲作品もたくさん聴いてみたいです。


(所感)
 ミュージシャン・シップの伝わる作品だと感じました。音楽家としての遊び心満載!メンバー自身が肩の力を抜いて楽しんでいる。が、そのミュージシャン・シップは、林檎さんと亀田さんが作り上げてきた世界と相容れない部分も少なく無いのでは…。事変のファン層を考えると、老婆心ながら少々心配ではありますっ。

 個人的には、前作の持っていた緊張感、あのようなテンションの作品も聴きたかったな…。あと、前作で打ち出したJazzyな雰囲気も味わいたい。亀田&林檎の「椎名林檎的作品」も、もっと楽しみたかった。林檎さん、また曲を書いてください…。
曲目リスト

  1. ランプ
  2. ミラーボール
  3. 金魚の箱
  4. 私生活
  5. OSCA
  6. 黒猫道
  7. 復讐
  8. 某都民
  9. SSAW
  10. 月極姫
  11. 酒と下戸
  12. キラーチューン
  13. メトロ

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一期さん、初めまして。

「私生活」は師匠の作曲です。
椎名林檎さんの「自作自演」の世界に、比較的ちかいように感じました。

次のアルバムでは、きっと林檎さんの作曲も復活するでしょうね!
楽しみです。

「私生活」は師匠が作曲したんだっけ?あれ良いな。
俺はやっぱ、林檎ちゃんの自作自演が好きだなぁ

りあさん、毎度です!

いえいえ、どういたしまして。拙い文章をお読み頂き、こちらこそ感謝しておりますっ。

おそらく、おいらとりあさんは、事変、ペト、あっぱそれぞれに求めているモノが、似通っているのだと思います。ミクとJMUSICでりあさんの所感を読ませて頂き、そう感じました。

おいらはペトのワンマンは行きますっ。あとLOFTも。ぱっぺは盛り上がりそうな予感がしますが、おいらは不参加です。伊澤さんと長岡さんは仲が良さそうですよね‥、ぱっぺでは相乗効果を発揮しそうな気がする。おいらの分も、楽しんできてください!

ヒロさんいつも細かく感想とか解説とかありがとうね^^
それと、私のミクシーにコメントありがとうですペコリ(o_ _)o))

やっぱり林檎は師匠と相性がいいよね。。。
私生活だけだけど、いいですよね^^
長岡さんのギターいいし。。。

えっと、某都民ね。長岡さんエフェクトかけすぎだね^^;
あと、メトロはオリジナルのほうがよかったなぁ。。。
やっぱり私も長岡さんに毒されていますね^^;

ペトだけのと、仙台のぱっぺ行くことにしましたよー。
何故か事変より楽しみ(苦笑)

あっぱもいいですよ。
アルバムこっそり持ってますけど、伊澤さんは伊澤さんの曲になっちゃってるね。あっぱ?って思うくらいに。

YOKOさん、ギタマガ(笑)。

新譜リリースというコトで、9月はメディアへの露出が多かったようですねっ、v-378。ファンには嬉しい悲鳴ですね!

そりゃもう

ギタマガ(笑)浮雲氏、P3の為に買いました(笑)
その他の雑誌も9月は買いましたねぇ~;
フリーペーパーとかも取りにいきましたしね(笑)
自分でも思う。熱心(笑)。

YOKOさん、毎度っ!

10月号、ブログを書き上げた後に購読しましたっ(つい先ごろ、トックさんに教えて頂き、ゲット)。書いてありましたね、そういった類のコトが。本音っぽい語り口で、なかなか面白く読むことが出来ましたっ(…、なぜに皆さんギターマガジンを。一般誌とは思えませんが)。

「月極姫」、良い仕上がりになっていましたね!おいら、原曲はそれほど好きというワケでは無かったのだけど、東京事変バージョンは試聴の時から好感触でした。あのコーラスは効果的ですね!

YOKOさんはじめ、みなさん多くの雑誌に目を通していますね‥、感心。雑誌を手に取る際、大変に参考になります!

こんばんわ~

ヒロさん娯楽について書かないなぁ~って思ってたら、あたしが気づいてないだけでした(笑)
娯楽!本当、バラエティですねぇ~!
ほとんどの曲が可愛い感じですけど、割りに(私は)聞き飽きなくて好きです・・・いや、もっと言いたいことがあるはずなのに・・・(‐д-)。

でもヒロさんのレビューや他の方の感想とか聞くと「へぇ~」とか「そうかあ~」とか色々面白いです(´∀`)
ヒロさんのはまた私の気付かないところを語ってくれるからv-352

あ、OSCAでギターが控えめな・・・といったコメントですが、ギタマガ10月号でそこ語って?らっしゃいますね~
また読んでみるといいかも?

これまた関係ないのですが、月極姫のコーラス・・・あれ気になります;;
ラプランセス エレソリテは分かるんだけど、その他が・・・あはは~ん気になるぅ~(T∀T) これの為に何回月極姫聴いたことか(笑)
でも飽きない・・・That's 事変マジック(笑)!

うさぎさん、こんばんは!

いえ、どういたしましてっ。思いつくままに書いた、拙いレビューです。

変幻自在ですよね…、林檎さん。ジャズも好き、ソウルも好き、ナンバーガール、長谷川きよし、RadioHead…、実に幅広く音楽を聴き、楽しんでいるように見受けられる。これからは、椎名林檎的焦燥感(?)から解放されて、ますますバラエティに富んだサウンドが生み出されるのかなと…。その中にはもちろん、またヒリヒリするような緊張感のある作品や、ティーン林檎作品(?)も含まれると思います。面白い集団になりましたね、東京事変っ。

ありがとうございます!

ヒロさん こんばんは
ちょっぴりお久しぶりです^^
さすがのレビュー!!
毎日車中で少しづつしか聴けないので
ヒロさんの注目点参考に聴きなおしてみますね。
第一印象は 林檎さん!さすがに歌、変幻自在! 
どの曲も楽器の音がバラエティに富んでて聴いてて楽しいです。
ライブが楽しみです(*^_^*)

もり侍さん、毎度!!

林檎さんは、リスナーが植えつけて固定化したイメージや、バンドを率いる使命感などから自らを解き放ち、気楽に音楽を楽しみたいのかなぁと、おいらは勝手に推測しています。

浮雲さんは、東京事変の中では異質だと思う。「椎名林檎」という鋳型から彼女を解放するのは、浮雲さんのようなミュージシャンが適任だという気がしています。ま、これもおいらの勝手な妄想なんですけど(笑)。

林檎さんの世代は、BOOWYを幼少期に聴いていますからねー。浮雲さんはペトロールズのライブで、自分らの世代を代表するバンドの代名詞としてBOOWYの名を口にしたコトがありました。

伊澤さんは、きちんとしていますね…。正統派の音楽家、という印象が強くなっています。亀田さんは敏腕プロデューサー、浮雲さんは自由奔放な芸術家、林檎さんは彼らが居れば、音楽との距離感を自由に調節するコトが…っと、妄想が過ぎました(笑)。

毎度です!

今回のアルバムは、林檎さん作というより、事変作という印象を強く出した作品ですよね。
「バラエティ」というコンセプト通り、変に力まず、結構いい雰囲気だと思います。
全曲揃ってひとつの作品といった感じの前作と違って、一曲単位でも気軽に聴ける作品だと思います。

ただやはり、「大人」のような緊張感と、林檎さん亀田さんの色とが恋しいというのは事実です。
でも、それは次作に期待しておきたいと思います。
なにはともあれ、素敵な作品だと思います。

自分は「ランプ」「金魚の箱」「私生活」がたまらなく好きです。
伊澤さんが「金魚の箱」には小学生時代にBOOWYを聴いていた影響があると仰ってました。
流石鋭いですね!

ちなみに、猫柳本線の特別ページで伊澤さんがどんなピアノを使っているのかが載っていましたよ。
http://www.kronekodow.com/html/01info/news.html

アヤコさん、こんにちは!

有難うございます!お気に召したようで、何よりですっ。

リラックスした雰囲気はアルバム全体から感じましたっ。おいらは林檎さんの声も、彼女の紡ぐ曲も大好きです。次作は林檎色が強くなるのか、それとも…。なんて贅沢な作曲陣っ!今さらですが、実にゴージャスなバンドですね…、職能集団。

「酒と下戸」は伊澤さんらしいなと、勝手に思っていました。ピアノ、気持ちが良いですね!曲の構成は、不思議…。きちんと楽典などを勉強しているからこそ成せるワザなのかなと、推測しています。

インド、宗教音楽ってのは、ギターがシタールに、Key.がパイプオルガンあたりに聴こえるのかもっ。ちなみに、鍵盤の音質もドアーズの「Light My Fire」に近いです。ギターの音も、格好良いですね!あの音はおいら、大好きですっ。

トックさん、ありがと!

ギターマガジン、ゲットしました!確かに、そう書いてありました、情報ありがとっ。実は、おいらの耳では判別できなかったので(汗)、ウラがとれて安心しました(トックさん、ギタマガなんてご覧になるのね…)。

伊澤っちがここまで弾くとは…、バービーのコピーの時より格好が良い!

娯楽

レビューお疲れ様です!
私は今回の『娯楽』は好きになれた方です^^

林檎さんは自分の曲だと恥ずかしくて思い切り歌えないとインタビューで仰っていたので、
今回は他人の曲だからリラックスして歌えたんだと思います。
林檎さんの声が今までよりも伸びやかだったように見受けられました。

1番好きな「酒と下戸」のメロディーとピアノが気持ちいいです♪
伊澤さんのバンド・あっぱも、こういうリズムの転換が多い曲が結構あるので、
今回の伊澤さんの曲はあっぱの色を強く感じました。

ちなみに「月極姫」の全体のオルガンやらギターやらが
やけにインドアジア系というか、宗教音楽を彷彿してしまうのは私だけでしょうか?(爆)

こんばんわー

“復習”のギターは、左が浮さんで、右が伊澤っちらしいですよ。
(ギタマガより。笑)
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